橋口公一博士が弾塑性理論の最高峰に到達

物質は力をかけるとその向きによって伸びたり縮んだりする変形を生じます。
その変形量が微小の場合には力を外すと物質はもとの形に完全に戻ります。
このような性質を弾性と呼びます。
ところがその物質の特性である降伏応力を超えるほどに大きな力をかけたあとに
力を外すともとの形には戻らないという性質があります。これは物質が
弾性から塑性へとその性質を変化させたためです。
このような性質を研究する分野は弾塑性(Elastoplasticiy)と呼ばれています。

この弾塑性を扱う理論の研究に長年携わってこられた日本の研究者は、
橋口公一先生(九州大学名誉教授)です。
下負荷面(Subloading surface) 理論の提唱者として有名であり、
数々の成果を挙げていらっしゃいます。

橋口公一先生は固体力学の目指すべき姿とはどういうものかを若いころから夢見てこられ、
この度、ついに究極の弾塑性理論である下負荷面ー粘弾性・粘塑性の理論を構築されました。
この理論は、金属、土壌、ポリマーといった多岐にわたる材料を扱うことができます。
摩擦に関する新しい理論も提案されており、地震のもとになるプレートの解析にも
使えるとのことです。
若い方々がこの理論に大きな関心を持ち、さらなる発展に寄与して
いただけることを願っています。すでに弾塑性解析に従事している方々は、
下負荷面理論を知ることでご自身の解析モデルの位置づけや制約を把握できます。
実験に従事している方々は結果の理論的考察に有効であると考えられ、実験結果の
解釈などをする際にも見通しが良くなると思われます。

この記事をご覧いただいている方々にグッドニュースがあります。

橋口公一先生のご研究の最新の成果について講演が行われることになりました。
2025年9月24日(水)信州大学にて
日本機械学会第38回計算力学講演会CMD2025
OS18「繰り返し負荷を受ける環境下での弾塑性解析」
の中で下記の2件の講演として発表されます。
(1)OS18 講演No.1 9時15分ー9時30分
橋口公一先生「繰返し負荷現象解析に不可欠な下負荷面モデルの発展状況」
(2)OS18 講演No.8 11時15分ー11時30分
橋口公一先生「下負荷面-粘弾性・粘塑性構成式」
が行われます。
OS18では下負荷面理論に関する多くの研究者による講演も同時に行われます。
このような機会に立ち会えることは非常にまれなことであると思います。
この記事をご覧いただいている方は、ぜひ、当講演会にご参加いただき、
この歴史的な場を共有していただきたいと思います。
参加事前登録締め切りは9月5日(金)です。

橋口公一先生は下負荷面理論の一連の成果を洋書で出版されてきましたが、
この秋には和書として出版する予定です。それもぜひ楽しみにしておいてください。




類似投稿